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2021/05/11

新たなお茶の楽しみ方


IDOCHAでのおもてなしは、いわば「堅苦しくはないお茶席」。壺には投げ入れた素朴な草花があり、漆喰の壁には軸の代わりに現代アートが掛かっています。懐石料理そのものではありませんが、旬の食材の香りを大切にした料理やお菓子を楽しんでいただきます。

抹茶はお茶会を連想させ敷居が高く近づきにくいと思う一方、一度、参加してみたいという方が多いのでないでしょうか。IDOCHAは、そのような方々のための空間です。茶席のような熟練の形式美はありませんが、ここでの創意工夫は全て最後の抹茶を美味しく味わっていただくためのものです。間延びした時間がないように出来立ての一品一品をテンポよくお出しし、抹茶碗は私たちのコレクションからお好みで選んでいただきます。

かた苦しさ抜きにしても本物へのこだわりと細部への心配りさえしっかりとしていれば、良い茶席にあるような主客が一体となる空気感を創出できる。

IDOCHAが提案する新たな「お茶」の楽しみ方です。


2021/05/08

京の名水


私は大阪出身ですが、高校生の頃から京都に憧れを持っていました。
故郷の大阪はかつて、水の都として「浪速の八百八橋」と呼ばれていました。市中に100双くらいの船が飲み水を売り歩いていたそうです。少し豊かな家には水壺が二つあり、一つは買った水が入れてあり、もう一つは普通の井戸水が入れられていました。井戸水は「洗い水」で、大阪の多くは湿地帯を埋め立てた土地で井戸を掘っても金気の含んだ悪い水しか出なかったそうです。

それに比べて京都は茶の湯に使われるほど美味しい水が豊富に出たので、少し口の悪い人は「水と言葉は、下にくだるほど汚れるのよ」と大阪を下に見ていたこともあったようです。大阪出身の私は苦笑いするしかありません。

kokeの中村シェフによると、IDOの水は、魚を捌いても違いが分かるそうです。丸魚に包丁を入れて水洗いするとき、彼が東京の店で水道水を使っていたときに比べて、明らかに魚の身が締まった状態をキープすることができ持ちが変わるとのこと。これは新しい発見です。

今では、京都でも井戸水は少なくなり、料理に井戸水を惜しみなく使えるほど贅沢なことはありません。ぜひ「美味しい水」からのおもてなしを、IDOCHAで体験していただきたいと思います。

2021/05/04

一座建立

大文字山の麓に佇む「石の庭」   

冨長敦也作 はじまりの石  

亭主がある客のために茶会を開いたとしましょう。客のことを思い軸、花、道具そして料理をキューレートしても、客がその亭主の意図を汲むことができなければ、退屈で凡庸な場になります。一方、客が亭主が企画した一期一会の場を特別なことと受け取り名残を惜しむ空気感が生まれた時、その特別な場を「一座建立」と呼びます。

一座建立には別の意味もあります。複数のメンバーで何か新しいものを生み出すとき、それぞれが担当分野が違っても目標にブレることなく阿吽の呼吸で最終着地したとき、この価値あるプロジェクトに関わることができたことを全員で喜び満足感に浸ることも「一座建立」。

先日、最初のゲストとして、このプロジェクトに関わっていただいたクリエーターの方々をIDOCHAにお招きしました。彫刻家の冨永敦也さんは建築家と作庭家とコラボレーションするのは初めてでしたが「一座建立」のコンセプトに共感していただき創作を引き受けてくれました。

建築の水谷光宏さん、作庭の山下雅弘さんとすり合わせの機会を重ね、ある時、石をこよなく愛する冨永さんに見てもらいたいと、京都洛北、大文字山の麓に佇む「石の庭」を一緒に見学したこともありました。その様なコミュニケーションと共通の体験が創作の糧となり現場での試行錯誤を経て据えられた彫刻は、「一座建立」を体現するIDOのアイデンティティーになりました。


2021/05/01

IDOのはじまり



敷地には元々、井戸があり1分間に100リットルが流出するという豊富な井戸水に恵まれています。この井戸水を最大限活用する施設を造ろうと思ったのが、このプロジェクトの始まりでした。


関東の水は山が遠く(軟水の中でも)硬度が高く出汁が出にくいと言われています。硬度が高い水はミネラル成分がじゃまをして出汁の成分が溶け込みにくいからです。一方、京都の水は山が近く軟水なので、出汁を取るのに最適です。この京都の名水により香りを楽しむ繊細な京料理が生まれ、茶の湯の文化が発展しました。


「湧き水」から始まる自然の魅力をIDOの庭はうまく表現しています。作庭した山下雅弘氏は山に近い井戸から水が湧いている様子を現し、彫刻家の冨永敦也氏は上流にある石はゴツゴツしていて、下流にある石は川を下る間に表面が削られ滑らかになる、という「自然の力」を彫刻で表現しました。


この自然の水を惜しみなく使えることは、IDOにある全ての店舗の特権です。