日本の陶芸の歴史を振り返ると、その起源は外国にあり良い焼き物は日本では作れなかったので中国に発注していました。
茶湯においても唐物の焼き物が珍重され茶会は舶来品のお宝をお披露目する場という傾向があったことは否めませんでした。
そのような世俗的な物質主義がまかり通っていたころ、あるアバンギャルドな茶人により「草庵の茶湯」という全く新しい価値が提示されたのです。高価な舶来の茶入れや天目茶碗と同列に農家の雑器を水差しとして用いたことに、人々は衝撃を受けたことと想像に難くありません。この茶人の発想はデュシャンのレディメイドに通じるものがあります。
「藁屋に名馬をつなぎたるがよし」(粗末な室内に名器を置くのがよい)とは「草庵の茶湯」の精神を表す名言です。
他国において、焼き物の歴史は粗末な土器から色彩豊かな磁器へと進化しコレクションされ晴れの舞台で使用されるのはもっぱら磁器。一方、日本において「侘び寂び」をよしとする「草庵の茶湯」が無施釉焼き締めの信楽の肌や窯変に美的な価値を見い出しました。一輪の野の花の美しさを引き立てるのは、エレガントな磁器ではなく侘びた粗陶器にあり。
これは日本のオリジナルな美意識です。
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日本の陶芸の歴史を振り返ると、その起源は外国にあり良い焼き物は日本では作れなかったので中国に発注していました。
茶湯においても唐物の焼き物が珍重され茶会は舶来品のお宝をお披露目する場という傾向があったことは否めませんでした。
そのような世俗的な物質主義がまかり通っていたころ、あるアバンギャルドな茶人により「草庵の茶湯」という全く新しい価値が提示されたのです。高価な舶来の茶入れや天目茶碗と同列に農家の雑器を水差しとして用いたことに、人々は衝撃を受けたことと想像に難くありません。この茶人の発想はデュシャンのレディメイドに通じるものがあります。
「藁屋に名馬をつなぎたるがよし」(粗末な室内に名器を置くのがよい)とは「草庵の茶湯」の精神を表す名言です。
他国において、焼き物の歴史は粗末な土器から色彩豊かな磁器へと進化しコレクションされ晴れの舞台で使用されるのはもっぱら磁器。一方、日本において「侘び寂び」をよしとする「草庵の茶湯」が無施釉焼き締めの信楽の肌や窯変に美的な価値を見い出しました。一輪の野の花の美しさを引き立てるのは、エレガントな磁器ではなく侘びた粗陶器にあり。
これは日本のオリジナルな美意識です。
Looking back at the history of Japanese pottery, its origins can be traced to foreign lands, as high-quality ceramics could not be produced in Japan and were thus ordered from China.
In the tea ceremony, too, foreign ceramics were treasured, and tea gatherings often had a tendency to showcase imported treasures.
At a time when such materialistic values dominated, an avant-garde tea master introduced an entirely new concept known as "Wabi-sabi tea of the grass hut." It must have been shocking for people to see that this tea master placed ordinary farmer's pottery on the same pedestal as expensive imported tea caddies and Temmoku tea bowls, using them as water jars. This idea of the tea master has parallels with Duchamp's readymades.
"Like tethering a prized horse to a humble straw hut" captures the spirit of the "Wabi-sabi tea of the grass hut."
In other countries, the history of ceramics evolved from rudimentary earthenware to colorful porcelain, and it is primarily porcelain that is collected and showcased on grand occasions. Meanwhile, in Japan, the Wabi-sabi of the "tea of the grass hut" saw aesthetic value in the unglazed finish of Shigaraki pottery and kiln changes. The beauty of a single wildflower is best accentuated not by elegant porcelain, but by rustic, Wabi-sabi earthenware.
This represents a uniquely Japanese sense of beauty.