冬のIDOCHAの壁にかかっていた絵は、ドイツのAnselm Kiefer(アンセルム・
1980年代に注目を集め、今、 ドイツの代表的な現代美術の作家として活躍しています。
ドイツの暗い歴史を振り返り、 圧倒的な迫力で過去の記憶を蘇らせ鑑賞者の心に訴えかけます。ドイツ人でなくとも、 彼の絵画表現に感銘を受ける人は少なくないと思います。
タイトルは、ドイツ語でSiegfried Vergisst Brunhilde.
このタイトルの由来は不明ですが、Siegfried と Brunhilde はゲルマンの神話上の人物で、前者は戦士、後者は女性の名前です。
ドイツの長い歴史の中で、この荒れた畑の風景は、今も昔も変わらない原風景でもあります。
この風景は、遠い彼方まで描かれていますが、その彼方はジーグフリートの神話が語られていた遠い昔であり、現代から遠い過去にタイムマシーンように遡って想いをはせる、といった心の深層を描いた作品だと思われます。
彼の作品は、一般的な感覚では美しいとは言えませんが、 ドイツ人の魂の叫びのような強烈な印象を受けます。
この作品は、彼の作品の中では珍しく親しみやすい作風ですが、 荒涼とした畑の描写はヴィンセント・ヴァン・ ゴッホの風景を彷彿させる荒々しさを感じます。