新しいという字は、立つ木に斧(おの)と書きます。
この字が示すとおり、新しさは「ゼロ」から生まれるのではなく、すでにあるもの(木)に斧(創意工夫)を加えることにより創られます。
IDOCHAでは、茶室を参考にしながらも、茶室にない要素(現代アートと出来立ての美味しさ)を加えることによって、新しいおもてなしを形にしたいと考えました。
土佐漆喰と多々木(たたき)という伝統的な素材で仕上げた床・壁・天井のミニマルな空間に、伝統とは対局にある現代アートが強い個性を放っています。
ここは抹茶を楽しむための空間ですが、伝統的な茶室から考案された立礼式の茶室とも似ていません。
茶室は美しく完成された空間ですが、出来立ての料理を美味しく提供することには不向きです。その茶室の水屋の代わりにプロ用の厨房を装備し、畳ではなく、6メートルの一枚板のカウンターを舞台にディセールと抹茶でおもてなしします。
自宅への招待に勝るおもてなしはないと考え、現代アート好きの亭主がホームパーティを開くというイメージで造った空間がIDOCHA。その昔、数寄者がホームパーティを開くために造った究極のスペースが茶室ですから。